「環境用語」を日本語で説明することの難しさ

「環境ギョーカイ」の言葉って難解だったんですね。
そんなことを思ったのが今日の出来事です。

本日、私滋野は、JICA(国際協力機構)の「地球温暖化対策コース」の研修のプレゼンテーションのために現在、つくば市に赴いています。
「さまざまな主体による温暖化対策への取組(地域ネットワーク)」というテーマで、京のアジェンダ21の目指すもの、および京のアジェンダ21フォーラム(http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ma21f/)の取組紹介をアジア太平洋地域の研修生16名の前で行いました。

先方の担当の方から「まず、京都のことについて簡単に紹介してくださいね」というリクエストがあったので、歴史、地理的な特徴、産業構造などについて簡単にガイダンス。

ここまではいわば「得意分野」なのでスムーズに行きました。

ところが、肝心の京のアジェンダ21、フォーラムそのものについての説明を始めて、本当に恥ずかしい思いをしました。

なぜか?
まず「言葉が通じない」。次に重点取組課題と実際のワーキンググループ活動との関係などを「論理的に説明できない」からです。

私は英語に自信がないので、日本語で話したものの通訳をお願いしました。
しかし、その中に通じない部分が出てきたのです。
日ごろ話していることを、逐次通訳していただいたのですが、環境の世界で使われる、例えば「エコツーリズム」「エコミュージアム」という言葉は一般的ではなかったのです。
「そこでエコツーリズムと聞いてどんなことを想像するか?」と聞いてみました。
すると
「トレッキング」とか「セーリング」というイメージが出てきました。
いわゆる「自然体験のツアー」ということ。そこまではわかります。

しかし「エコミュージアム」については全く通じず、「地域固有の資源を生かした…」などと説明してもどうも腑に落ちない様子。
さらに「エコミュージアムワーキンググループ」が「里山のことに取り組んでいる」ときたものだから、もう収拾つかず…

さらに、自然エネルギーの翻訳「natural energy」についても「石炭や石油もnaturalじゃないか。それを言うならrenewable energyではないか」と突っ込まれる始末。

そんななか、一番わかりやすかったのは交通と個人レベルのライフスタイルについてでした。京都のまちの特性を説明しながら、まちなかの自転車駐輪場実験や交通社会実験については興味を示してくれましたし、生ごみ堆肥作りは、子供たちにとってどのようなメリットを与えるかといった質問などがでました。

質疑応答は京都の交通問題とその取組で大半でした。

たとえば
Q「都心部や観光地に乗用車を入れないためにどうしているのか?」
A「(嵐山などの交通社会実験では)郊外に駐車場を提供してもらって、そこから公共交通で入った」
Q「なぜ、交通渋滞や温暖化防止に役立つのに、みんなで取り組まないのか?」
A「人は自家用車の便利さを覚えてしまうと、とかくそちらに流れるもの(苦しい言い訳?)」
Q「反対する人はいなかったのか?」
A「当初は地元商店が難色を示したが、人通りが増えたことでその効果を証明できた」
Q「取り組む上で一番難しいところはどこか?」
A「やはり行政組織内部の連携が課題ですね」

こういったやりとり。
興味を持ってくれていましたが、パークアンドライド(P&R)についてご存じない方が多かったようです。

そして、最後に「環境への取組は『意識の高い人』と『関心ない人』との隔たりが大きい。そこを埋めていくのが私の仕事」と言って締めました。

でも、今日の経験を通じて、環境の世界は「もっと普遍的な言葉を使う必要がある」「英語で説明すること以上に日本語できっちりと整理しておく必要がある」そして「欧米の動きに目を奪われがちだが、もっとアジア太平洋地域のことにも目を向けなければならない」ことを痛感した次第です。

さらに、「京のアジェンダ21」、そして「京のアジェンダ21フォーラム」について、見つめなおすきっかけになったことも付け加えておきます。