議定書おひざ元で

日本経済新聞2005年3月23日付 近畿経済面「温暖化対策 自治体動く」という見出しで、「京都議定書おひざ元」の近畿の各自治体の環境の取り組みの動きについて紹介しています。

滋賀県は、産業界や大学と連携し、水素エネルギーを開発する。琵琶湖の水を水素と酸素に電気分解し、水素を燃料電池の燃料に使うと同時に、酸素を琵琶湖に送り、深層の湖水の低酸素化を解消する。また同県は、太陽光発電システムを設置した個人住宅を対象に、余った電機を電力会社に売る電力量に応じて補助金を支払う制度を始めるとのこと。

大阪府は、来年度から保育所や幼稚園、公民館、商店街などに、住民らが共同出資などで太陽光発電設備を導入する際、導入費の一部を補助する。来年度はNPOなど3団体を公募で選び、50万円ずつ助成する。

兵庫県は、2005年度予算案に、12億9000万円を計上し、県の施設からの温暖化ガス排出量の削減に取り組む。庁舎や学校など10施設に、電力消費量の少ない空調や照明器具などを導入する。

京都府は、一般市民向けの啓発活動として、「エコファミリー推進事業」に150万円を計上。家庭の中の省エネなどの取り組みを自己診断する環境家計簿を普及。省エネやごみ減量を心がける家庭を「エコファミリー」や「エコ親子」に認定する。

奈良県は、「エコスタイルキャンペーン普及事業」として95万円を計上。そのPRのために県職員用のバッジを作り着用する。

和歌山県は、地域の実情に合った温暖化ガス削減対策を練るため、市町村、事業者、住民団体などで作る地域協議会を新年度に3つ設けるとのこと。

近畿の自治体が温暖化ガスの削減策に力を入れる背景には、家庭、オフィスなどの温暖化ガス排出量が1990年比で3割近くも増えているという現実があります。京都市では4月1日に、全国初となる「京都市地球温暖化対策条例」が施行されます。
また、産業界では自動車や省エネ効果を競う分野が広がっています。今日開幕の「愛・地球博」でも、こうした「省エネ技術」が多く出展されることだと思います。
さて、増え続ける家庭、オフィスの省エネやをどうするか。これからが正念場です。

ふたりで始める『環のくらし』

3月9日付 京都新聞夕刊10面にこんな記事が出ていました。
「省エネ小冊子 結婚情報誌の付録に」
(以下引用)
環境省は、温暖化防止への取り組みをPRするため、省エネ生活のアイデア京都議定書について紹介する冊子を、市販の結婚情報誌の付録として配布している。(中略)
冊子は「ふたりで始める『環のくらし』Part2」で、結婚準備中のカップルをターゲットにした。2月下旬に発売された結婚情報誌「ゼクシィ新生活ちゃんと準備BOOK」4月号の付録として約4万部を配布した(引用終わり)、とのことです。

なお、下記からダウンロードもできます。
http://www.wanokurashi.ne.jp/mat/catalog4/pdf1/all.pdf

で、早速ダウンロードし、プリントアウトしてみました。
全体パステル調で、イラストを多用しながらも、データでちゃんと根拠も示しています。
続いて、「先輩カップルが教えてくれた ラクラク節約・快適エコライフ」と題した、事例集。モデルとなったカップルの、具体的取り組みや、1ヶ月の光熱費紹介が。

そして、エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、自動車、食器洗い乾燥機、温水洗浄便座、照明、ガスコンロ、電子レンジ、電子ジャーポットとそれぞれのエコな使い方や、商品選びについても書かれています。

ちょっと「詰め込んだっ!」という感じが拭えませんが、割といい線行っているんじゃないかと思います。

結婚の予定はなくても、一読してみては。

「省美スタイル」

3月7日付 日本経済新聞23面「温暖化時代を語る」欄に掲載されていた、照明デザイナー石井幹子氏のインタビュー記事の紹介です。

(記事要約)
日本では工業化社会の進展に伴って、光の照度を上げてきた。その結果、人工衛星から見ると、世界中で日本列島が突出して明るいという。
温室効果ガスの削減を義務付けた、京都議定書が日本人の生活に与える影響として、日本人が本来持っていた豊かなライフスタイルへ回帰する良い機会。身体のリズムや四季を感じる生物としての感性を取り戻すきっかけになるのでは、と述べている。
一方で、技術革新による豊かさを否定しているわけではない。革新的な製品に囲まれた生活を送りながら、使い方で工夫するという、省エネ製品の普及というハード面と、人としての感性を大事にした使い方をするソフト面との組み合わせで議定書の目標達成は可能ではないか。
また、畳や布団といった日本の伝統的なものが世界中で流行している。これらは天然素材でできている。石油由来の化学製品に囲まれた生活が見直されている動きは、結果として温室効果ガスの排出削減につながる、と見ている。

こうした生活スタイルを「省美スタイル」として提唱している同氏は、「我慢」ではなく、科学技術の発展の享受とともに、感性に正直になることというバランスで、より豊かな生活が実現できるとまとめています。

日本が温暖化防止でリードできる部分のヒントかもしれません。

小泉首相



(東京から)

小泉首相のほかのメッセンジャー
コフィー・アナン 国連事務総長(ニューヨークから)
マーガレット・ベケット 英国環境・食料・農村地域大臣(ロンドンから)
ワンガリ・マータイ ケニア環境副大臣ノーベル平和賞受賞者)
ユルゲン・トリッテン ドイツ連邦共和国環境・自然保護・原子力安全大臣(ボンから)
ヒネス・ゴンザレス・ガルシア アルゼンチン厚生環境大臣COP10議長
劉江 中華人民共和国国家発展改革委員会副主任(北京から)
マサオ・ナカヤマ ミクロネシア連邦特命全権大使(レドリー・キリオン副大統領メッセージ代読)
ジョゼ・マヌエル・バローゾ 欧州委員会委員長(ブラッセルから)
ステファン・ディオン カナダ環境大臣(オタワから)

ヨーケ・ウォラーハンター氏からメッセージを聞いてコメント
京都議定書がひとつの動きを作り出す。弾みをつけるのではないか。この約束のスピリットが京都から発信され、道しるべになればと思っている。


終了 22:50
なお、記念行事のオンデマンド配信入口はこちら

パネルディスカッションが始まりました。

パネラーと主な発言内容
エストラーダ・オユエラ アルゼンチン大使、COP3全体委員会議長
トーマス・ベッカー デンマーク環境省国際局長
「議定書発効は多国間主義の成功」
マサオ・ナカヤマ ミクロネシア全権大使
ビート・ノブス スイス大使
ジェニファー・モーガン 気候行動ネットワーク理事
浅岡美恵 気候ネットワーク代表
「COP3は日本の市民社会において、自分の未来を決める意思決定に関わる始めての場だった。議定書とともに日本人が進んでいく、市民社会をつくる機会になるだろう」
堀場厚 株式会社堀場製作所社長
「技術革新はメーカー、消費者双方の努力である。市民も当事者として考える必要がある。長い目で見ると、教育の場で教えていくことが大切だろう」
小西正樹 外務省地球環境問題担当大使
「議定書発効は最初の一歩。次の一歩は、温暖化の進展に遅れないよう取り組みだ。そのためには第一に科学的な知識と理解を深めること、次にすべての国が協力し、長続きできる努力だ」

コーディネーター 
浜中裕徳 慶應義塾大学環境情報学部教授

その後、フロアからの質問があり、ジェニファー・モーガン氏は「議定書は先進国がリードするものだが、発展途上国の中にも高い意識を持っているところがあることを我々は真摯に受け止める必要がある」
浅岡氏からは「誰にでも取り組める仕組みやシステムを導入することで、環境意識は強固になり、実行する人が増えてくる。そういう社会に向かうことを認識すること」と述べた。
小西氏は「米国に対して働きかけが必要で実際そうしている。中国に対しても温暖化防止への努力を呼びかけている」と述べた。
ベッカー氏は「議定書が機能していることを見せることが重要。CO2の排出が高くつくということを示したらいい。気候にやさしい“市場”に乗り出すことは機会である」と述べた。